裁判例の分析とLLM

これまで、医療過誤事件の相談を受けることはあっても、受任には至りませんでした。
というのは、医療過誤の事件は、専門用語が沢山出てくるだけでなく、日々の患者の状態や検査・投薬・診断・治療の経過をトレースする作業が必要なため、繊細さと時間と労力が必要ですし、厖大な裁判例から抽出した類似事件のデータを整理して受任事件と対比することは、とても大変なうえに、それでも結果は常に不透明だからです。
この分野では、調査だけで相当の費用がかかりますが、それだけのことをしなければならないのです。

一つの裁判例を詳細に読みこなすだけでも、相当な時間がかかるのですが、LLMがゲームチェンジャーになりそうです。
120bクラスのローカルLLMを適切にチューニングすれば、長大な裁判例を読み込んで、要素を正確に抽出することができ、しかも初期のLLMと違い、最近のローカルLLMは性能向上によって、同じ作業を相当回数繰り返させても、途中で精度が落ちることがなくなってきたのです。

つまり、ネット上のより大規模なLLM=ClaudeやGeminiと対話しながら、一般的な医療知識を獲得しつつ、判決からどんな要素を抽出すれば良いかを割り出して、それをもってデータベースからダウンロードした判決をローカルLLMで分析させる。
これによって、多数の項目について、多数の事例で、その結果とともに比較できる一覧表をまとめ上げることができる。
すると、当該事件で請求が認容されるか、棄却されるか、その分水嶺がどこにあるかも自ずと明らかになる。

こんな作業は、従来なら相当の時間がかかっていたのですが、LLMを効率的に使えば、より正確に、あっという間に完成してしまうのです(ただし、医療情報は要配慮個人情報ですから、オンプレミスで動作するローカルなLLMを使わなければなりませんし、巨大なテキストデータを扱いますので、相応のサイズが必要です。)。

これによって、提訴するかどうかの判断を、より高速に、かつ低価格で提供できるサービスがほどなく登場するのは、間違いないなと、思った次第です。

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